奄美空港(その2)

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(2009:07:31 12:18:52, NIKON D200, F11.0, 1/25, 0, ISO:200, 12 mm(換算18 mm), AF-S DX Nikkor 12-24mm f/4G, 撮影地, 潮位)
カテゴリ: 200907奄美大島  

(この記事は移行作業中につき本文やタイトルがほかの記事と重複している場合があります)

奄美空港と遺跡

 奄美空港は、国内でも珍しい遺跡のある空港です。「遺跡の中に空港がある」と言ってもいいでしょう。昔の人々の生活の様子を今に伝える遺跡の名前は、砂丘上に形成された「長浜金久(ながはまかねく)遺跡」といいます。
 長浜金久遺跡の発掘調査は、ジェット機が利発着できる現在の空港建設に伴い1983年から2年間、県教育委員会が記録保存(遺跡自体は消滅するものの記録によって保存される)のため調査を行いました。
 遺跡は、第1遺跡・第2遺跡・第3遺跡、それに近世墓からなる砂丘遺跡です。調査により、これらの遺跡は山手側より海側へ砂丘形成が発達するにつれて、生活地域が移り変わる状況が把握されました。
 第1遺跡は最も海側の砂丘で、古墳時代末期より平安時代前期にかけての遺跡です。現在の空港ターミナルビル部分になります。第2遺跡は最も山手側の砂丘にあたり、縄文時代後期の遺跡であることが判明しました。現在の駐車場部分で、駐車場の後方には長浜金久遺跡を紹介する遺跡公園として一部が保存されています。第1遺跡と第2遺跡の中間に位置する第3遺跡は、弥生後期より古墳時代相当の遺跡です。
 第1遺跡は、3600平方メートルの広さに渡って発掘調査されました。その結果、大量の貝殻と土器・石器・鉄器などが出土しました。貝殻の収集状況から「貝だまり(小貝塚)」と捉えられています。
 本土で見られる貝塚は同じ居場所に何度も貝を捨てて形成され、一定地域での長期間の生活を裏付けています。長浜金久遺跡の貝塚は、対照的にいくつかの小規模なものがまとまっていたようです。これは、海岸線における私たちの祖先の生活は「移動型」だった可能性を示唆するものとして注目されました。
 貝だまりを形成する貝は、「ヤコウガイ(方言名=ヤッコウゲ・ヤクゲ)」「マガキガイ(同トビンニャ)」「二枚貝(同ギシキョンニャ)」に分類されました。最も数が多かったのがマガキガイです。この貝は砂地の浅瀬に生息します。マガキガイが奄美で最も美味とされるのは2~3月頃です。このマガキガイを求めてベースキャンプを張った可能性があり、砂丘地の小貝塚は、数人の集団で「季節移動」を行った跡をしめしています。
 第1遺跡からは奄美で生産された地元の土器・兼久式時が主に出土しました。
 第2遺跡からは遺構(生活跡)として、住居跡・炉跡・集石・土墳(掘り込み遺構)などが確認されました。貝製品ではオオツタノハで政策された貝輪も出土しました。貝輪はすべて破損品でした。破損品の多さから遺跡は「貝輪の工房」も考えられます。
 長浜金久遺跡の特徴の一として多量の貝だまり、貝製品があります。貝の文化は奄美独自のものです。奄美の貝文化について、熊本大学文学部の木下尚子教授は「素材としての魅力から貝を通した交易が生まれた。取り引きを指す交易によって、需要と供給の関係が生まれる。農耕にかかわる祭りで、九州の人々は珍しい琉球列島産の大型巻き貝を祭祀の際に用いるようになり、産地の奄美や沖縄に目を向けるようになった」と指摘し、「14世紀以前の南島と大和(本土地域)の交易は、7世紀以前の先史時代貝交易と、9世紀以後の古代・中世貝交易に大きく分かれる。大和の人々が腕輪や馬具の装飾としてゴホウラなどの大型巻き貝を恒常的に求めるようになったほか、中国も螺鈿(らでん)工芸品の材料としてヤコウガイに注目し、中国の沿岸部の人々が奄美や沖縄を訪れている」と述べています。
 奄美の貝文化は交易を生み、日本・中国・朝鮮を含む東シナ海の貿易に大きな役割を果たしたのです。こうした地域との交流により、陶磁器や鉄文化など新たな文化が奄美にもたらされました。奄美空港と遺跡とのかかわり。そこから私たちの祖先が築いた独特な歴史が見えてきます。空港建設で遺跡は消滅しましたが、その一部は現在でも地価に眠っています。ターミナルビル内に展示されている貝の標本は、そんな遺跡の存在を今に伝えています。多くの人々が関心を持つことで、奄美空港の価値がさらに高まるでしょう。


奄美空港ターミナルビル株式会社





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