新型コロナウイルスで何が起きるのか

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(2020:02:03 13:20:47, SONY α7R IV, F6.3, 1/1000, ISO:100, 64mm, 24-70mm F2.8(SEL2470GM), 撮影地, 潮位, 月齢:9.2, 長潮, 13.6℃, 991.7hPa, 52%)

少し前から新型コロナウイルス(2019-CoV)の爆発的な感染とそれによる伝染病(新型肺炎)が話題になっています。
2020年1月23日には中国の武漢が封鎖されたのを始め、中国内で封鎖が相次ぎ、2月3日現在では推定6500万人が封鎖エリア内に隔離されているという話があるほどです。

2020年2月3日現在、日本での感染者は20人、中国での感染者は1万7336人、感染の疑いがある人が2万1558人、重症が2296人、回復が516人、死亡が361人と発表されています。

ということで想像を交えて何が起きているか考えてみました。

SARSに関しての記事在香港日本国領事館「過去のお知らせ(2003)」は分かりやすく、ためになる内容なので一読をお勧めします。

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新型肺炎は2003年に中国で大感染したSARS(重症急性呼吸器症候群)や2012年に確認されたMERS(中東呼吸器症候群)、そしてごく一般的な「風邪」と同じくコロナウイルスによる感染性の病気です。

普通の風邪はほとんどの場合、発熱や咳などの軽い症状で終わります。
しかし新型肺炎やSARSなどは肺炎やそれによる重症化が起きます。

新型肺炎はSARSやMERSと類似点が多く、その感染や発症のメカニズムも類似していると考えらえます。
ただし一点だけ大きな相違点があります。それは「潜伏期間にも感染性がある」という点。SARSやMERSは自覚症状の現れた人のみ他人にウイルスを感染させますが、新型肺炎では熱も咳もない状態から他人への感染力を持ちます。


普通の風邪と新型肺炎などはその初期症状が同じです。
症状が風邪のまま終わるか、それともそれ以上の状態へ状態が悪化するかは免疫系の反応によって変わります。

新型肺炎を引き起こす新型コロナウイルス(2019-CoV)に感染しても潜伏期間最大14日間(早ければ2日、おおよそ1週間程度)は何も起きません(そしてそのまま何も起きず感染したことに気づくことすらなく回復することもあります)。

その後、普通の風邪を引いたのと同じ状態になり、38度以上の熱、悪寒、咳、下痢、息切れ、頭痛、筋肉のこわばり、全身の倦怠感、下痢などの初期症状が起きます。
この風邪の状態は1週間ほど続き、それで回復することもあります(MERSコロナウイルス(MERS-CoV)への感染では21%の人が回復します)。

風邪症状になった1週間後に急に肺炎になります。
肺炎になった2日後には人工呼吸器が必要になるほど悪化します(MERSでは肺炎になっても重症化せずに41%が回復します)
そして肺炎になった1週間後、風邪を引いてから2週間後に死亡します(MERSでは肺炎になったら44%、重症になったら74%が死亡します)。


新型コロナウイルスに感染すると潜伏期の1週間+風邪を引いている1週間の間に体内で新型コロナウイルスに対抗するための抗体が作られます。
体内で抗体がつくられると、正常であればその抗体によって新型コロナウイルスが中和されて回復するはずですが、そうはならずにADE(antibody-dependent enhancement)という反応が起きます。

ADEが起きると炎症性サイトカインの放出が増えます。すると炎症性サイトカインに刺激された白血球が肺を攻撃して肺炎が発症します。
そのときの炎症性サイトカイン量が少なければ軽い肺炎。多ければ重症の肺炎になります。
これはサイトカインの増加によって起きる症状のためサイトカインストーム(サイトカイン放出症候群)とも呼ばれています。


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炎症性サイトカインが増えるとなぜ肺が攻撃されるのかを始め、まだ調べきれていないことが多くて不明点ばかりですがおおよそ上記の流れだと思います。


WHOは1月31日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したものの、中国への渡航や貿易の制限などは必要ないとしました。
それを受けて日本政府は1月31日に「14日以内に中国・武漢市を含む湖北省に滞在歴のある外国人を当分の間、入国拒否する」としました。

日本は確認された感染は20人と少ないですが調査が行われていないためであり、実際には多くの感染者がいると考えられています。
さらに高確率で新型コロナウイルス感染者が中国から日本国内へ入国してしまう状態が続いています。

どう楽観的に考えても今後、日本で新型肺炎は流行します。
武漢のように患者数が増えすぎ診察すらできない状態にまで状況悪化するか、コントロールできるレベルに抑え込めるかは分かりません。2020年2月下旬~3月下旬に何が起きるか注目です。


現在は新型コロナウイルスの検出が(リアルタイム)RT-PCRでしか行えないため、一般的な日本人への調査は行われていません。
肺炎患者や診察に訪れた人などから大規模なサンプル収集をしたり、学校の生徒や公務員の発熱状態の記録をするなど、将来の医療のために厚生労働省が動けば貴重な研究資料になると思うのですが・・・


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SARSとMERSについて分かりやすい記事の一部をピックアップしてみました。

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在香港日本国領事館「過去のお知らせ(2003)」
在香港日本国領事館

潜伏期間は最大10日、平均5~6日。
自覚症状は38度以上の熱、悪寒、咳、下痢、息切れ、頭痛、筋肉のこわばり、全身の倦怠感、下痢。
発症者の80~90%の人は回復。10~20%の感染者は重症化して人工呼吸器の装着などが必要になる。
肺炎患者の致死率は10%(致死率の分母は感染数ではなく肺炎患者数)。

自覚症状発症後は感染力があり2~3人に感染を広げる。
接触感染と飛沫感染(1mから2m程度の濃厚接触)が中心。
空気感染の可能性は否定できない(重病人を閉じ切った部屋で看病する場合などは空気感染も考えられる。通常は空気感染しない)。
感染地からの輸入品・郵便物は心配ない。

「SARS」は肺炎を伴う症状として定義されているため、SARSウイルスに感染して発熱など自覚症状が現れた人であってもSARS患者としては扱いません。肺炎を発症して初めてSARS患者としてカウントされます。

回復後も呼吸困難などの肺機能低下の後遺症がある人がいる。原因がSARSか薬剤なのかは不明。

コロナウイルスが直接細胞障害を引き起こすのではなく、過剰な免疫反応により白血球が肺を攻撃することで肺炎が起きます。

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SARS(重症急性呼吸器症候群)の現状について
西川眞(新潟県保健環境科学研究所ウイルス科)

SARSウイルスは鼻汁、つば、喀痰、気管支肺胞吸引液、糞便、尿、嘔吐物などに存在。
鼻咽頭スワブではSARSウイルスの排出は、発症5~10日目に急激に増加する。
重症患者糞便中へのウイルス排出は1か月以上継続する。

体外に排出されたSARSウイルスの感染性保有期間は
室温、成人便で6時間
室温、下痢便で4日間

感染力は56度30分の過熱で大きく減少。
感染力はエタノール接触5分間で完全に失活。

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I's eye: 中東呼吸器症候群コロナウイルス
日本BD [日本ベクトン・ディッキンソン株式会社]

MERSにおけるADE(antibody-dependent enhancement)

一般的なコロナウイルスは風邪の原因として知られ、その抗体を多くのヒトが持っている。
MERS-CoV感染歴のないヒトであっても、通常のコロナウイルスの抗体とMERS-CoVの抗原が免疫複合体を形成しFcレセプターと結合すると考えられる。その結果、免疫担当細胞が刺激されてサイトカインが放出され炎症反応が起きる。
このような抗体による悪影響は抗体依存性感染増強(antibody-dependent enhancement:ADE)と呼ばれる。


※この記事は風邪ウイルスの抗体がADEにつながるとありますがそれを示す研究成果があるかは確認できませんでした

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Viral-Induced Enhanced Disease Illness
2018 Dec 5.
Maria K. Smatti, Asmaa A. Al Thani, and Hadi M. Yassine

一般的なADEの作用機序

1.ウイルス抗体複合体のFc領域が免疫細胞のFcγRへ結合
2.Th1サイトカインのIL2、TNF-α、IFN-γが減り、Th2サイトカインのIL-10、IL-6、PGE-2、INF-αが増加する
  さらにSTAT経路が阻害されIRFレベルが下がり、その後抗ウイルスiNOSが減る
(3.抗ウイルス反応が抑えられることでウイルス増殖が増える)

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Middle East respiratory syndrome: what we learned from the 2015 outbreak in the Republic of Korea
2018 Feb 27.
Myoung-don Oh, Wan Beom Park, Sang-Won Park, Pyoeng Gyun Choe, Ji Hwan Bang, Kyoung-Ho Song, Eu Suk Kim, Hong Bin Kim, and Nam Joong Kim

韓国のMERSアウトブレイク
n=186

重症率 20.4%

潜伏期間 2-14日(中間値7日)
伝染性期間 1-11日
rRT-PCR陰性になるまで 17日(中間値)

熱8日(中間値)
肺炎が急に出るまで7日
人工呼吸まで9日(中間値)
死ぬまで14日(中間値)


免疫を獲得するまで3週間。
無症状感染は、血清に抗体ある率0%
肺炎ない発症は、60.0%
呼吸障害のない肺炎患者は、93.8%
呼吸障害のある肺炎患者は、100%

生存した重症患者の血清抗体は11/11。12ヶ月以上検出された
生存したmild患者の血清抗体は2/6で検出

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WHO MERS Global Summary and Assessment of Risk (July 2019)
WHO
MERSの患者統計

n=2449のうち、845人が死亡
20.8%が無症状もしくはmild症状
32.7%が軽症
12.5%が重症ののち回復(46.5%が重症もしくは死亡)
34.5%が死亡(重症者の死亡率は74%、重軽症者の死亡率は44%)
#感染者の把握が十分に出来ていない可能性がある

n=2449の
年齢中間値は52歳(IQR37~65歳、IQR=中間値の50%範囲)
68.3%は男性
51.8%が持病あり(diabetes mellitus, hypertension, heart disease, chronic renal failure or lung disease)
17.9%が医療従事者


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